紅藕香残玉簟秋。軽解羅裳、独上蘭舟。
べにはすのかおりがのこる、あきとなりました。
くつろいで、ひとりふねのうえにおります。
雲中誰寄錦書来、雁字回時、月満西樓。
くもまに、てがみのじのように、かりがならんで、とんでいくと、
にしのこうろうを、つきがてらしはじめました。
花自飄零、水自流。一種相思、両処閑愁。
はなびらが、おとなくまいおちて、みずはゆっくりながれていきます。
おもいはひとつなのに、こうしてわかれているのですね。
此情無計可消除、才下眉頭、却上心頭。
どうしてもあなたのことをかんがえてしまいます。
あたまからけそうとすれば、かえっておもってしまうのです。
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中国の宋代に盛んになった詞(ッゥ)の名手で、中国を代表する女流詩人といわれる、李清照の有名な詞です。一剪梅、は詞の決まった題の一つらしくて、同じ題で多くの人が詞を書いています。李清照については、NHK人間大学(1998)でも紹介されていますが、夫が一時単身赴任していたことがあるようなので、この詞もその時につくられたのかもしれません。詳しい事情など抜きにしても、この詞は、中国語にしては我々に理解できる漢字ばかりが使われているのでなじみやすいと思います。中国人留学生(工学部)にこの詞を教えてもらったのですが、最後の、才下眉頭、却上心頭(ツァイシャアメイトウ、チュエシャンシントウ)の所はとくに感動的らしくて、何度も繰り返して読んでくれました。
漢詩は中学校でも習い、なじみが深いのに詞はこれを聞くまで知らなかったので、かえって感動を覚えた気がします。訳本もあるのでしようが、手に入りませんので、拙訳を添えて、紹介させて頂きました。
忽自悟
二〇〇一年一二月