表1 新しく書かれた幸福論 抄録

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幸福について −人生論−

Aphorismen Zur Lebensweishaft
ショウペンハウエル

Arthur Schopenhauer
1851

新潮文庫
幸福の2つの大敵は苦痛と退屈。これらは一方から遠のくと他方に近付くもの。 賢者は侮辱されない(何をされても)。目先や環境に左右されないこと。(見えるぞ !見えるぞ!) 運がすべて、汝の息子に運を授けて海にすてよ。 金言集:騙されて失った金ほど上手に使った金はない。
幸福論

Der Eudumonismus
フォイエル バッハ

L. Feuerbach
1867-69

福村出版
あらゆる行動は幸福衝動による。まず、そのものを失って、そのありがたさが 判る。幸福衝動を(イエズス会のように)押えるべきではない。幸福衝動と良心、 徳との融合。
幸福論

Gluck
ヒルティ

Carl Hilty
1891-99

岩波文庫
万人の共通のもの、幸福追求。地上のものは重視してはいけない。幸福と至福 。至福はキリストを信ずることによってのみ可能。神の存在を試してはいけない。 無条件の信仰。聖書に最も多く使われている言葉。「恐れるな」人間とは何か、どこから来てどこ へ行くのか。金色に輝く星の彼方には誰が住むのか。(ハイネ)仕事の仕方。時間の作り方。
ハマトンの幸福論

The Quest of Happiness
ハマトン

P.G.Hamerton
1897

講談社
現状の持続をどれ程願っているかで幸福の程度が知られる。ポジティブ幸福( 何かやる)ネガティブ幸福(うしろめたくない)幸福が失われると、別の幸福が取 って代わる。どんな幸福も不完全なもの。
幸福学

Le Science de Bonheur
ジャン・フィノー

Jean Finot
1916

大日本文明協会編
楽天主義。古来幸福の神聖を説いたものはストイック派とキニク派のみ。 ショウペンハウエルは厭世家の中でも最も甚だしい者だが、1831年のコレラ流行の 時ベルリンを逃れた。幸福(ボヌール)-->狭い時間景福(フェリシテ)--> 比較的長い時間至福(ベアティテュド)幸福は道徳的生活においてのみ生ずる結果である。
The Science of Happiness H.S.Williams 1909

Harper Brothers
The problem of happiness is the problem of problems. Sound body. How to sleep. How to work. Life companionship. The comming generation. How to die. Right living right death.
幸福論

Propos sur le Bonheur
アラン

E.A.Alain
1928

Paris

白水社
道徳論の第一の義務は上機嫌。楽観主義に徹すべし。ほほえみを、いかなる時 にも絶やすな。
どうしたら幸福になれるか

How to be Happy Through Human
ウルフ

W.Beran Wolfe
1931

U.S.A.

岩波新書 青404a,404b
人間は 1.何も考えず、ただ生まれて育つて死ぬ人。 2.人生ビジネスと考える人。 3.自己形成をする人。(自己彫刻)(精神科医)
幸福論

The Conquest of Happiness
バートランド・ラッセル

Bertrand Russell
1930

みすず
個人の考え方に限定した幸福になる方法。煙突掃除人の仕事のまずさが気にな らない人。何が人を不幸にするか。何が幸せにするか。(退屈、疲れ)(科学者) (単純でいられる)宇宙の市民、自分と後世を分けて考えない。
幸福論 三谷隆正 1944

岩波文庫
日本のヒルティ、一高教授良き健康、清純な家庭と一生を投じて悔いなき職場。 それに増して大なる幸福は、イエスを信じて真実一路。その恩賜として受け取るもの。 (歴史多く、生活の工夫は少ない。)絶対者の存在に関する。パスカルの賭け 信ずる事に賭けた方が得。
幸福論

Spate Prosa
ヘルマン・ヘッセ

Hermann Hesse
1949

新潮文庫
散文の一編。Das Gluck 黄金色の時間。没時間的な、時間も歴史も晩年の散文 以前も、以後も知らない、純粋な完全な現在。(子供の頃の記憶に存在)
幸福論

The Way to be Happy

(The Common-Sense Psychology)
グールド

Lawrence Gould
1950

新人社
不幸な人の直し方。90%の無意識部分の解放。フロイトの精神分析による「 幸福に至る科学的な方法」なおせないものは我慢せねばならぬ。「人の不幸は自分 で自分に期待することと、自分が達成し得ることとの差異によって測られる」 アドラーの法則。
幸福論 寺山修司 1970

角川文庫
本を捨てて町に出よう。「幸福を軽蔑する者は軽蔑に値する幸福しか得られない」 アランやヒルティではないヤサグレ幸福論はないのか。偶然か必然か。偶然が本当 にあれば、理性的判断や科学的常識から解放される。幸福になった後の「幸福論」は? 幸福論は永遠に到達しえない闘いの原理。
The Persuit for Happiness D. G. Myers 1976初版

1993 Avon Books
アメリカ人の三分の一は朝目覚めたとき幸福だと感じる。この本の目的は 幸福についての情報を知らせること。いわば、幸福についてのコンシューマーズ・ レポートです。さすがアメリカです!
世界の幸福論 山田孝雄 1979

大明堂
世界古今の幸福論をまとめた本はこれが世界で初めてではないかと著者が述べている。内容豊かな本である。
体当り幸福論 鈴木健二 1984

講談社
死は生の最後の仕事人間はいつもさような らばかり言って生きてる。印象深い日や、人にたくさんめぐり会えた人は幸福な人生 を送るだろう。
幸福 向田邦子 1985

新潮文庫
素子と数夫 不幸の中に転がっている幸福を拾いあげる。
新しい時代の幸福論 藤川吉美

周暁燕
1992

慶応通信
女性の幸福論 幸福の基礎的条件は自尊心の充足 グループ、社会の不幸は「囚人 のジレンマ」に原因がある事が多い。社会システムはその解放のためにある。
幸福論 柴門ふみ

PHP出版
1992 いつでも幸福というわけにはいかない。幸福は巡って来て、巡ってゆくものだ。 はた目にはスイスイの人にもそれなりの悩みがあるものだ。(ボエチウスと同じ事 いってる)
7秒の幸福論 秋元康 1992

青春出版社
幸せは自己満足の連続。自分の満足感が幸福。 恋と愛についての教えを書いている。 38歳にしてはちょっと説教的か?
共福の思想 金泰昌

Kim Tao-Chang
1992

GEC出版
勝った負けたの世界をものとして、共に生きることが生物としての人間の本来の 姿ではないか。新アリとキリギリスの話。 どちらもがいるから社会が成立する。すなわち共福の社会を目指すことが大切。
幸福のかたち 山陽新聞社 1995 どうにもならない状況でも、どうにかしなければならなかった人々、ならない人 々の生き方に幸福のかたちをみる。
科学と幸福 佐藤文隆 1995

岩波書店
ニュートン・ダーウィンによって人間は、自分達が絶対的なものだという 見方を失って、広大な時間と空間の中に放り出されてしまった。哀れだけど、 これが自由なのか? バートランド・ラッセルのいう幸福な科学者か?
大不幸ゲーム 逢沢明 1995

光文社
不運は必然的に起こるものだ? 本論に述べた4階建ての幸福の家の1階の本棚に置くに適した本。